「天空落とし」と名付けられた麺の湯切りは、テボと呼ばれるザルを豪快に振りかざす技です。この技は「派手なパフォーマンス」として話題になったこともあります。

この「天空落とし」は、ただのパフォーマンスではなく美味しさを支えているんです。さらに、ここ10数年の「ラーメンブーム」に、「天空落とし」が大きく関係しているといっても過言ではありません。

テボ

「テボ」と「平ザル」の違いは?

本来「テボ」は蕎麦やうどんを温めなおすのに使われていた道具で、それでラーメンを茹でるのは「邪道だ」という意見が強くありました。元々、ラーメンの湯切りに使われていたのは「テボ」ではなく、深さのある「平ザル」だったんです。

平ザルを使う最大の利点は、鍋全体で茹でるので麺に”茹でムラ”がない美味しい麺ができるということでした。一方で、茹で始めたら途中で麺を追加することが出来ないうえ、素早く取り分ける技術がないと麺が伸びてしまうという弱点もありました。

そんな弱点を解消したのが「テボ」だったんです。テボは1玉ずつ茹でるので「取り分ける技術」がいりません。さらに、1玉ずつ「麺の茹で時間」を変えられるというメリットまでありました。

  • 1玉ずつ茹でることができるので「麺の硬さ」を細かく調節できるようになった
  • お客さんの「細かな注文」にも対応できるようになった

しかし、そんな「テボ」にも唯一の弱点がありました。それは”湯切り”だったんです。

テボの中は麺が固まるため、麺が丸まってしまい、お湯が切りにくくなります。だからといってザルを何度も動かすと麺が傷ついてしまいます。そこで編み出された技が「天空落とし」だったんです。

デイゴケンイチデイゴケンイチ

「天空落とし」は、スピードと落差をつけ、麺に一度で大きな反動を与えることができるので、少ない回数でお湯が切れます。