和食を代表する天ぷらには、食材毎に職人の何気ないひと手間がかかっています。

例えば穴子の天ぷらの場合、穴子を油に投入する直前に鉢の縁に何度も沿わせます。これは皮の部分だけ衣を削り取る事で、強く皮を揚げる事ができるからなんです。身の方はふっくらと皮は直接焼き、強く揚げて臭みを取っています。

そして穴子は皮と身にまとわせる衣の量を絶妙に変えています。このひと手間によって身は衣に包まれて味が凝縮し、皮はパリっとした食感となるんです。

一方、銀杏などの野菜の場合は、色合いを出すために薄い衣で揚げます。

一瞬の動きの中に隠された職人のひと手間、全ての所作には美味しく仕上げるための意味があるんです。

菜箸

天ぷらの菜箸は太くないと味が落ちる

一般的な細い菜箸で小麦粉を混ぜてしまうとグルテンが出てしまいます。グルテンは粘り気が非常に強いため、サクッとした軽い衣に仕上げることができません。しかし、太い菜箸でフワッと大きく混ぜるとグルテンが出にくいんです。

天ぷらは”焼く”と”蒸す”を同時にする料理なので、細い菜箸で天ぷらを扱うと身が崩れて衣が取れてしまいます。なので太い菜箸で優しく扱う必要があります。

天ぷら店ではBGMを流さない店がある

天ぷら店では、職人さんが油の音が変わるところを聞いているのでBGMを流さない店もあります。

また、天ぷらの由来は元々ポルトガル語の「テンペロ」からきているといわれています。テンペロは、揚げ物料理が多いポルトガルにおいて「料理」を意味しているんです。

デイゴケンイチデイゴケンイチ

今では逆にポルトガル人が揚げ物を「Tempura」として楽しんでいます。