箸を使う国は中国や韓国など日本以外の国にもありますが、その中でも日本だけが箸を横向きに置きます。
他の国は箸以外のナイフやフォークも全部縦置きに置くんです。
和食が横向きに箸を置くというのは”尖った箸の先を相手に向けるのはマナー違反”という理由以外にもあるんです。
そこには日本人の食に対する思いが込められていました。
横向きの箸は自然界と人間界の境目
「和食だけが箸を横向きに置く」、そこには自然を尊ぶ和食の精神が込められているといいます。
古くより日本人は生きるための食べ物を、自然の偉大な力”神様によってもたらされる神聖なもの”と捉えていました。
それゆえ、神様から頂いた神聖なものは決して手では口へ運ばず、箸を使って食べていたのです。
そして、和食で箸を横に置く理由は”神聖な自然の世界と人間界の間に結界をつくるため”だったのです。
箸を手に取って結界を解いてから、神聖な食べ物を頂くという考えがあったんです。
日本の箸を広めたのは聖徳太子
600年代初頭に聖徳太子が中国に送った使節団が見たのが、中国の王朝の人々が箸を使って食事をしている光景でした。
それに驚いた聖徳太子が中国から招いた使節に合わせるために、箸を使った食事の作法を朝廷の人に習わせたのが始まりといわれています。

中国から伝えられた箸が、1400年の時を経て日本独自の発展を遂げて、今や世界に誇る工芸品になったんですね。