1923年に発生した関東大震災は、死者・行方不明者が約10万人という未曽有の大地震となりましたが、実は関東大震災がきっかけとなり、日本人によって生まれた世界初の美容法があるんです。
二重まぶた整形が誕生
この美容法は、長野県出身の天才眼科医であり、関東大震災で被災した人たちの治療にあたっていた内田孝蔵という人が考えだしました。この震災は、大火事がいっぱい起きたので顔に火傷を負った気の毒な人が多くいました。傷を消すために何とかしてあげようとして、容姿について考えていくなかで「美人とは何か」の研究を始めます。
当時の日本は、西洋の映画やファッションが流行し、西洋人の美への憧れが高まっていた時代です。そこで内田さんは美人のスターの写真を集め、美人の条件を数値化しようとしました。
美人と言われる人は数値がはっきりと出ていて、目の大きさが縦11㎜~14㎜、横32㎜~36㎜というものでした。そして、目が大きい美人は二重まぶたであると結論付けました。関東大震災をきっかけに、内田さんが世界で初めて考案したのは、二重まぶたの整形手術だったんです。
内田さんは、アジア人特有の”蒙古ひだ”という目頭のひだを取り除き、まぶたを二重にするだけでなく、目を大きく見せる術式を考案しました。戦前に書かれた「整形のいろいろ」という資料には、自ら手掛けた術前・術後の写真が掲載されています。